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医療法人信和会 沖縄第一病院

医療法人信和会 沖縄第一病院
今回は、医療法人信和会 沖縄第一病院の下里 博克 臨床工学科長にお話を伺いました。
沖縄で透析の分野にいち早く踏み込んだ沖縄第一病院の「透析」に対する考え方とは?

▼業務内容についてお聞かせください。

 

透析液作成機器

今回は私が臨床工学科長ということもありますので、我々の関わる業務を中心にお話させていただきます。

臨床工学技士は、主に生命維持管理装置の操作と保守点検を仕事とするのですが、当病院は県内で透析患者数が一番多いということもあって、透析に関係する機器を扱う事がとても多いですね。

また、人工呼吸器管理業務や手術室に入ったりして医師のサポートを行います。

当病院は、現在10名の臨床工学技士が在籍しています。数としては他に比べ若干少ないのですが、充実した機器設備やサポートスタッフがいるので問題ありません。

 

▼この仕事をしていて、嬉しかった事や苦労した事などがあればお聞かせください

 

下里博克 臨床工学科長

基本的に透析を受けている患者様というのは、完全に治る事がないので、とても長いお付き合いになります。

ちなみに、当病院で一番長い方は32年になります。その為、徐々にお互いの事が分かってきて距離が縮まってきますね。

患者の皆様との距離が縮まることで、その状態を充分に把握しサポートに望むことが出来ますし、家族の方とも連携をとって対応することが出来るので、そういった点はとてもいい点です。

逆に距離が近くなり慣れてくると、こちらの対応に対して少し無理な要求などが患者の方から出てきてしまったりして、対応が困難な場合もあります。

いずれにしろ、透析は完治する病気の場合とは違い、患者の方と長期間のお付き合いになるので、他の科とは少し違った部分がありますね。

また、臨床工学技士の取り扱う新たな業務が年々増えてきており、その知識の習得と10名の技士の配置には苦労しています。

患者の皆様に安全な医療を提供する為には、定期的な機器メンテナンスの実施と技術の質を高める事が必須です。他病院に実際に研修に出向き、技術の習得や経験をつむ事もありますね。

 

▼透析とは具体的にどういったものですか?

 

血液透析というのは、腎臓の機能が低下したため、血中の老廃物や水分を充分に排出できなくなった際に行うものです。
車でも動いているときは排気ガスが出ますよね。それと同じで、人間も生活すると尿中に不要物が一緒に出て行きます。
その尿を作り出すのが腎臓の役割なんです。

 

透析用3モーターベッド

人工透析のしくみは、血液を一度体外に出し、ダイアライザーという特殊フィルターの中を通過する際に、不要な成分だけを血液から透析液に移し、再度体内に浄化された血液を戻すというものです。

簡単にいうと、ストローにところどころ穴をあけて、物の入った液体を通すと、小さいものはその穴から抜けていきますが、大きいものはそのまま流れていくのと同じです。

都合のいい事に、人間に必要な成分は大きく、不要な成分は小さいので、ダイアライザー内で透析膜という膜の微細な孔を通して不要な成分が出て行くという形になります。

その際に用いる透析液ですが、その中に体に悪い影響を与えてしまう物質(エンドトキシン等)が入っていた場合、透析中に血液に移行してしまう恐れがあるので、透析液はできる限り清浄化する必要があります。

使用する透析液は当病院の施設内で作成するのですが、当病院ではその際に最も重要な要素である透析液の清浄化、中でも特に「水」に関する設備とその管理に細心の注意を払っています。

当病院の血液透析では主にオンラインHDFという方法を採用しています。専用の装置・施設や水質管理が必要な為、これまで行われていた方法に比べ病院側にとってコストがかかる方法なのですが、患者の皆様にとっては体への負担も少なく現時点で理想的な方法のひとつです。

現在、この方式を採用する病院が増えてきていますが、県内では当病院が初めて平成6年に取り入れました。

 

▼病院の特徴などがあればお願いします。

 

医療法人信和会 沖縄第一病院

当病院は定期的に外来通院される方の透析室ベッドが80床、入院中の方の透析ベッドが40床あります。

現在の当院の透析患者数は250名ほどになります。沖縄県内では最大の透析患者数になりますね。

通院透析は基本的に週3回で1回あたり5時間としています。透析は諸事情により4時間を限度に提供しているところが多いのですが、当病院では患者の方々の状況などを見ながら相談し4~6時間の間で調整しています。

健康な人の腎臓は、24時間働きつづけています。一方、透析は通常週3回、1回5~6時間です。

1週間に換算してみると健康な人の腎臓は、24時間×7日=168時間働いています。透析を受けている人の場合は、週3回×5時間=15時間で、168時間のカバーをするわけですから、透析の時間も長くとった方が体には理想的だということが分かっています。

また、透析をうけている患者の方は、定期的に透析を受ける以外は普通の方の生活と何もかわりがありません。その為、仕事をされている方もいますが、そういった方のために夕方以降から透析を始める夜間透析も行っています。

 

▼今後の抱負・決意

 

下里博克 臨床工学科長

年々、医療現場での新たな医療機器の数・種類がともに増加してきています。これからもその傾向が続いていくと思われますので、これからは技士1人1人の手腕が問われますね。

当病院では臨床工学技士の10名中7名が「呼吸療法士」の認定を受けています。おそらく、沖縄県内では臨床工学技士がこれだけ多く呼吸療法士の資格を持っている病院は他にはありません。

我々は常にこの分野で最先端をめざしてきましたので、「体外循環=第一病院」と言われるように今後も努力していきたいです。

 

▼最後に一言お願いします。

 

下里博克 臨床工学科長

「自分は透析とは無縁だ」と考えている方が多いと思います。

中には、陸上競技の大会などで急激に運動をしてしまい、急性腎不全で運ばれてくる方もいます。ただ、この場合は適切に処置すれば元に戻ります。

また最近では、糖尿病が元で透析をされる糖尿病腎症の方が大勢います。

「普通の日常生活をおくれば、透析が必要になることはほとんど無い」と言う訳でもないんですよ。

実際、沖縄県内だけで透析患者数が約3500人、全国では25万人と言われており、現在もその数は増加中です。

お話した内容をきっかけに当病院のことだけでなく、透析について、そして臨床工学技士についても知っていただければ幸いです。

 

【取材後記】

今回は、限られた時間の中で透析と臨床工学技士について伺いましたが、透析では血液を循環させるので、何かトラブルがあった時は直接人の命に関わるという事もあって、安全の確保については何度も触れていました。

特に透析液に関係する施設では、水について細心の注意が払われており、複数の工程を経て体内に入っても問題のない状態にするのはもちろん、複数パターンの条件下で水に含まれる物質の検査を行い、安全性をより確かなものにする取り組みも行われていました。

医療については我々一般人からは見えにくい部分もありますが、今回の取材では普段あまり見ることの出来ない現場の状況を見ることが出来ただけで無く、医療に関わる方の真剣な思いを感じることが出来、とても勉強になりました。

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