
お年寄りの『元気』のために努力する姿を、取材して参りました。
▼事業内容と施設の特徴をお聞かせ下さい
私達『デイサービスセンター豊見城』は、糸満市にある老人ホーム『沖縄偕生園』の付属施設として、今年7月にこの豊見城市でオープン致しました。
この施設では、法律により利用を認められた高齢者に対し、日帰り方式でサービスのご提供をしております。
サービス内容はと言いますと、ご自宅では難しい高齢者の入浴を、こちらの施設でお世話させていただいたり、機能訓練指導員による身体的な機能訓練や、学習療法士による認知症の予防などを行ったりしています。
他にも介護一般のサービスをご提供していくことで、利用者さんにはこちらで楽しい一日を過ごしていただいております。
特徴と言えば、当施設で特に力を入れているのが、認知症改善のための『学習療法』です。これは音読と計算を中心とする教材を用いた学習を、学習者(利用者)と支援者(学習療法士)がコミュニケーションを取りながら行うことを言います。人間の脳の中には、認知機能や身辺自立機能などを司る『前頭前野(ぜんとうぜんや)』という領域があります。そこで学習者の前頭前野の機能維持を、学習療法によって図っていくのです。
先ほども申しましたが、当施設は今年7月にオープンしたばかり。ですから現在までの利用者さんの人数は、それほど多くありません。しかし、一人一人の利用者さんとの触れ合いを大切にしながら、丁寧なサービスを心がけ、それをご提供させていただいています。これも当施設の特徴と言えるでしょう。そのせいか最近では、現在の利用者さんが新しい利用者さんを紹介して下さる、という嬉しい状況がよくあります。この方向性で徐々に浸透していけば、利用者さんの数も確実に増えていくのではないかと期待しています。
▼この仕事をしていて良かったことや大変なことを教えて下さい
仕事していて良かったことは、利用者さんが当施設で一日を過ごされた後、満足されながら笑顔でお家に帰っていく様子を見ることができた時ですね。この瞬間に出会えた時が、私達にはとても大きな励みとなります。
他にも、学習療法をやっていて「少し前までは、手が震えてしまって字がうまく書けなかったのに、今は書けるようになって嬉しい。」とか、身体のリハビリをやっていて「おかげ様でだいぶ良くなってきたよ。」という言葉をいただいた時、それから利用者さんの元気になっていく姿が目に見えて分かった時など、この仕事をしていて本当に良かったと思います。それと同時に、『やりがい』というものを強く感じることができます。
大変だったことを思い出そうとしてみましたが、そんな風に感じたことは特に出てきませんでした。いつも、その時その時を夢中でやっています。だから、どれが大変なことだったのかと振り返ってみても、よく分からないのです。
▼好きな言葉を教えて下さい
『努力をしてみましょう。その結果は、努力をしないよりもより良い効果が得られます。』という言葉をゲーテが残しています。
これは、『とにかく努力をしてみることが大切』という格言です。なぜなら、それをしたことによる結果はどうなるか分からないけれど、それをしている過程においても得るものがたくさんあるからです。つまり、努力をすれば結果の良し悪しに関わらず、それ以外にも途中でついてくるもの(収穫)が必ずあります。
これは今の私達にも言えることですね。先ほどもお話したように、一人一人の利用者さんのために一生懸命サービスを行っていくことで、利用者さんが新しい利用者さんを紹介して下さることにも繋がっていくのですから。
▼今後の目標と、これをご覧になっている皆さんにメッセージをお願いします
私達がこの仕事をしていく上では、『最良の福祉サービスを提供し、偕(とも)に生きる地域社会を創造し、もって社会に貢献する』というのが基本理念なんですね。
このことをいつも頭の中に置いた上で、家庭的なあたたかいケアを心がけ、利用者さんの自立支援と主体性を尊重しながら取り組んでいます。
しかし私達のようなデイサービスの施設というのは、戦前くらいまで遡って見てみると存在していないものだったのです。本来なら高齢者のお世話は、お家でその家族の方々がなさっていた仕事ですから。そして最期は家族皆に看取られて亡くなっていく、というのが普通でした。
しかしその後、日本が急激な経済成長を遂げていく中、核家族化が進み、共働きも増えていく世の中に変化していったことで、高齢者の面倒をみることができなくなっていった。それで私達のような施設が登場し始めたわけなのです。
ですから、社会全体を見渡して言わせていただくと、本来ならばデイサービスのような仕事は、増えてはならないものだと思っています。
しかし時代の変化によってその必要性が生じ、後から登場してきた仕事ですから、そのニーズにはしっかり応えていかなくてはならない。で、ニーズに応えながらもその目指すところは、本来の形に戻していくことです。高齢者の皆さんが地域とともに、あるいはご家族とともに元気で楽しい生活が送れるように、その手助けをしてあげることなのです。できるだけ病院のお世話にならないで済むように、病気やケガの予防に努めたり、身体の機能回復のお手伝いを差し上げたりして、元気な姿でお家に戻してあげる、ということを目標に日々努力をしています。
そこでご家族の方や若い世代の人達にお願いしたいことは、今まで頑張ってきたおじいちゃんやおばあちゃんを大切にし、あたたかい心・優しい心を持ち続けながら接していってほしいということです。そして、地域全体で協力し連携を取りながら、お年寄りが楽しく元気よく暮らしていける街づくりを目指してほしいと思います。これらのことを心がけていくだけで、明るく住みやすい社会に変わっていくはずですから・・・。
取材ということで、施設の中へ一歩足を踏み入れた途端に感じたことは、なんてあたたかい場所なんだろう、なんて居心地の良い場所なんだろう、ということ。最初に抱いたこの感覚は、どこからくるものなのかと不思議に思っていました。
しかしインタビューをしていくうちに、そして施設内の案内をしてもらっているうちにその答えが少しずつ見えてきたように思えました。それは、日々ここで利用者さんと接しているスタッフの方々の持つ『気』のせいなのではないかと・・・。すみません! 私は普段、武道をやっている関係上、『気』などという一般的には分かりにくい表現しかできないのですが、自分にはこれが一番当てはまる言い方なのです。利用者さん達は、ここでスタッフの方々の『気』をもらうことで『元気』になり、身体各部の機能改善に結びついていくのではないかと思いました。
自分の感じた『気』の中身をあえて文字にするとすれば、それはスタッフの方々の『情熱』や『愛情』、『あたたかい心』や『優しい心』が集まったものではないでしょうか。
オープンして間もないけれど、これほどまでに居心地の良い場所が県内に早く知れ渡ればいいな、と思いつつ取材を終えました。



沖縄偕生会 デイサービスセンター豊見城














