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炭火串焼 月と噐

炭火串焼 月と噐
今回は『炭火串焼 月と噐』の石井雄一郎オーナーシェフにお話を伺いました。
炭火に関する奥の深い話、興味深く伺ってきました。

▼お店の紹介をお願いします

 

石井雄一郎オーナーシェフ

去年の9月20日にオープンしました『炭火串焼 月と噐』です。私はもともと京都に住んでいましたが、2年ほど前に沖縄へやって参りました。
お店のジャンルは焼き鳥屋になります。しかし自分達は、この中部一帯にはあまりないような店を目指しています。もう少しお話しすると、きれいでシャレた感じの雰囲気を大切にしながら、若い女性からお年寄りまで幅広い方々に向けて、皆さんが足を運びやすいお店づくりを心がけているのです。

当店のメニューの中でも一番のお勧めは『つくね』です。生からこねて作り上げた後、一般的には湯掻くなど一度加熱を施した上で、それから最後に焼いていくものが多いのです。しかし当店のつくねは、生の鶏肉を混ぜ合わせた状態から、湯掻くことなくそのまま炭火でじっくり焼き上げていきます。だからとても柔らかい食感を保ちつつ、噛み締めた時に出てくる肉汁が、口の中いっぱいに広がるジューシーな仕上がりになっているのです。
 

炭火串焼 月と噐店内

つくねのジューシーさを中に閉じ込めたまま焼き上げていくには、火の質や火力も重要です。巷で見かける電気やガスでは、焼き上がるまでにとても時間がかかってしまいます。ですから出来上がりの頃になるとパサパサになってしまうのです。

それに火力がないと、焼き上がりの途中で鶏肉がボットリと落ちてしまうこともあります。さらには、焼いている最中に脂がしたたり落ちると、火がボッと上がり、せっかくのつくねにすすがついてしまいます。すると味にもそれが移ってしまい、せっかくのつくねも台無しになってしまいます。

当店は炭(土佐備長炭)を使用していますから、炎が上がりにくく大量の赤外線によってスピーディーに、そして中も外もムラなく焼き上げていくことができます。この焼き方は、京都での修行時代に身に付けたもので、当時は炭の使い方について徹底的に勉強しました。

▼『月と噐』さんのサービスの特徴は?


炭は一つ一つがとてもデリケートで、かつ個性を持っているのです。例えば、それを作る職人さんによって火力の上がり方に違いが出てきますし、あるいはその日の天気によって使い方を考えないと、うまく焼くことができない場合もあります。

また、扱う人の気持ちがそのまま反映されてしまうこともあるため、例えば忙しい日にイライラしながら炭を扱っていると、火力が上がりすぎて焼き鳥が焦げてしまうことさえあります。

ですからいつも心を落ち着け、平常心で炭と向き合うことが大切。そういう意味では、『炭は生き物』と言っても決して過言ではないでしょうね。

そのような炭を使って私が修行時代に学んだことは、店の一日の開店から閉店までの間には、『焼きの物語』があるのだということです。炭は営業時間の 18時から24時まで、ずっと焼き続けなければなりません。その間、炭は少しずつ縮まっていきます。この縮まっていく中、火力を常に一定に保つことを前提に、お客さんの入りのピークに合わせて、いつでも料理をスピーディーに美味しく出せるように、火力のコントロールをしていくのです。これが『焼きの物語』。例えばお客さんの数が少ない時間帯は、団扇の向きや扇ぎ方(縦仰ぎ・横仰ぎ・斜め仰ぎ等々…)だけで火力を一時的に上げます。逆にお客さんが多い時間帯には団扇は使わず、炭の配分や配置などを変えて火力を上げていきます。こんな風に毎日、お客さんの入り具合からその流れを読んで、閉店時間までの炭火のコントロールをしていく。そうやって、その日ごとの『焼きの物語』を創り上げていくのです。
 

月と噐使用陶器

『物語』といえばもう一つ。それはお客さんに料理を出していく時の品の順番ですね。これにも配慮を忘れません。

例えば三品のご注文をいただいた場合、最初に食していただくのは塩味(お客さんの好みやお疲れ具合によって塩加減を調節)。まずはこれで、お客さんの食欲を刺激します。

次にタレ味(京都から伝わる秘伝のタレをご賞味下さい)のものを出すことで、『月と噐』のワールドへと導いていきます。そして三品目(つまり最後の注文にあたる品)では、当店が誇る自慢の味(実際にお確かめにいらして下さい)をご披露することで、その食事のクライマックスにふさわしい満足感を、皆さんにご提供させていただいております。

また、料理を出すタイミングも重要です。お客さんが前の料理を食べ終わった瞬間に、タイミング良く次のものをお出しできるよう、焼き場からは常にその様子をうかがいながら作っています。

今お話したことが、当店の特徴的なサービス内容です。しかしそれに加えて、お客さんによって食べ方のスタイルや味の好みはまちまちですから、何気ない会話の中からそのヒントを見つけたり情報を拾い集めたりして、より美味しい召し上がり方を個別に組み立てていき、その上で料理のご提供もしております。

▼好きな言葉を教えて下さい


好きな言葉は『ありがとう』ですね。おいで下さっているお客さんにはもちろんのこと、あらゆる物事に対して感謝の気持ちを忘れないようにしています。
 

炭火串焼 月と噐グラス

例えば仕込みでつくねを作る時でも、自分は「ありがとう!」と何十回も言いながら混ぜ合わせています。知人から聞いたある実験の話ですが、『水』は人間が発した言葉に対して敏感に反応するそうです。「ありがとう!」と声をかけるととても美味しくなるし、反対に「マズイ!」「イヤ!」のようなネガティブな言葉をかけると本当に美味しくなくなるそうです。

つまりモノであっても、言葉による影響を受けやすいということなのです。だからつくねに対しても、感謝の気持ちを持ちながら真心を込めて作っていきたい。そうすることで、素材の持つ風味や調味料の味だけでなく、そこに『気持ちの味』もプラスされ、美味しさがいっそう増していくのだと思います。感謝の気持ちを込め、世界一美味しいつくねを作ります。

▼これからの抱負をお聞かせ下さい


皆さんから、「北谷で食事をするなら、『月と噐』に行って食べたい!」とおっしゃっていただけるようなそういうお店を創っていきたいですね。

そして、店舗を少しずつ展開していきたいという夢もあります。沖縄にお店を出したのは、旅行でこっちに来たことがきっかけなんです。沖縄を知れば知るほど、どんどん好きになっていったから・・・。ここは土地柄も穏やかで、一年を通して本当に住みやすい所ですね。沖縄で店舗展開をしながら『月と噐』をしっかり根付かせたいです。
 

炭火串焼 月と噐店内2

さらに店舗展開の話を続けるなら、カナダにもお店を出したいと思っています。なぜなら、かつて自分が住んでいた場所だったからです。

この国には6年間住んでいました。そしてもとはといえば、「将来的にここへお店を出したい!」という夢を抱いたことが、この世界に入ったきっかけですからね。それで一旦は京都に帰って、3年ほど修行をしてきたといういきさつがあります。

今から10年後を目標に、カナダ出店の夢を実現させるつもりです。

 

【取材後記】

後日、食事をするためにプライベートでお邪魔させてもらいました。この時はマイカーで行ったがために、お酒の方まで味わうことは出来ませんでした。非常に残念。しかしお酒を飲まなくても、すばらしい料理の数々を堪能することができました。

私が食べたのは、『ハート』『レバー』『沖縄県産アグー串』『月とつくね』『揚げだし餅のきのこあんかけ』『焼き鳥丼茶漬け』の計6品。

『ハート』・・・
インタビューにもあった通り最初の品だったので、『塩』で出てきました。さすがはオーナー。何気ないおしゃべりの中から私が疲労気味なのを即見抜いてしまった。塩味が心地良く効いた『心臓』は、何も考えずにムシャムシャいってしまいましたよ。

『レバー』・・・
これは一般的に好き嫌いが分かれる一品だけれど、『月と噐』さんのものはあの独特の風味がほとんど感じられず、本当に食べやすい。柔らかくお上品な味。

『沖縄県産アグー串』・・・
今帰仁産アグーを使用しているとのこと。アグーはやっぱり脂ですよね。柔らかいお肉から染み出た脂が私の舌を大いに喜ばせてくれました。

『月とつくね』・・・
これが今日のメイン! お店自慢の一品だけあって肉汁が噛むごとに「ジュワー、ジュワー・・・」。炭火の威力を思い知らされた絶品料理。だからもう一本注文!

『揚げだし餅のきのこあんかけ』・・・
私の『舌』はつくねまでですでに満足をしていたものの、『お腹』に相談してみたら「まだまだ行け!」と言われたので注文。『お餅』と『きのこあんかけ』の絶妙なコンビネーションにすっかりやられました。これは寒い時期に食べると、よりいっそう美味しいだろうな…。

『焼き鳥丼茶漬け』・・・
仕上げで頼みました。だし汁と鶏肉の組み合わせが非常にすばらしい。とてもシンプルなのにクセになります。また食べよう!

石井オーナー、美味しい料理を本当にありがとうございました。今度伺う時は、料理に合う美味しいお酒も教えて下さい。

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