
環境保護に対する熱い想いと、不思議な乗り物を取材して参りました。
▼活動内容を教えて下さい
「地球温暖化防止のため、自分達に出来ることは何か?」ということで、2004年5月1日に『ecomo.i(エコモ ドット アイ)』というNPOを立ち上げました。ここでは環境問題をメインテーマに、福祉なども視野に入れた街づくりを目指し、そのための活動を日々行っています。
活動の中心は『VELOTAXI(ベロタクシー)』の運営です。
ベロタクシーとは1997年にドイツで最初に開発された自転車タクシーのこと。人力により街を静かに走行することでCO2(二酸化炭素)の排出量を減らし、風を感じながらゆっくりと街の魅力を発見できる楽しい乗り物です。
ドイツの東西の壁が破られた時代、国内では失業者の数がかなり増えたらしいのです。その失業者対策のためにベロタクシーを開発し、観光地やイベント会場の案内目的で運行させたのが始まりのようです。その後、ドイツからヨーロッパ全体へと広がっていきました。
私達『ecomo.i』は、沖縄県内でベロタクシーを5台所有しており、うち1台は小浜島へ貸し出しています。そして4台で、那覇市内(特に国際通り周辺)を走り回っています。
ご利用下さるお客様のうち7~8割は地元の方々で、残り2~3割が観光客という状況です。
年齢的にご利用が多いのはお年を召した方。
例えば「ちょっと、病院までお願いね。」とか、「買い物してきて荷物が多くなっちゃったから乗せてね。」という形でご利用下さいます。私達は、日常生活に密着したこのような形でのご利用法を理想としてきました。だからとても大歓迎です。
▼ベロタクシー運営までのいきさつをお聞かせ下さい
私達は元々、『沖縄路面電車友の会』と言って、「沖縄に戦前あった軽便鉄道や路面電車を復活させよう!」という集まりから始まっています。それで10年前から、国際通りを走っているバスや車の台数をチェックしたり、講演会や勉強会などを催したりして、沖縄の車社会が抱える様々な問題を、少しでも良い方向へもっていくための『電車の復活』を模索して参りました。これは単なる『環境』の問題だけに留まらず、人々の『健康』や『福祉』の問題など、多方面に大きく関わってくる事柄なので、皆で真剣に考えていかなくてはならないテーマなのです。
しかし電車の復活というのは、個人の力だけでは非常に難しい部分があります。それは行政の範囲に及ぶことでもあるし、莫大なお金も必要となります。
そこで個人にもできる身近なところから、何か始められることはないか・・・ということで、紆余曲折を経てその後『ベロタクシー』と出会うことになります。
ベロタクシーなら、街の景観を楽しみながら、那覇市の現状を知っていただけると思い、導入しました。
▼この活動をしていて、良かったことや苦労したことをお聞かせ下さい
私達はNPOなので、一般の企業さんとはその活動目的が違ってきます。
一般企業であれば利潤の追求が大きな目的になりますが、NPOは非営利の団体です。そして今はまだ、法人格を取っていないので個人事業という形で運営しています。
沖縄は横の繋がりや結びつきの強い土地柄なので、私達のような団体の場合、特に企業さんの協賛がないと運営していくことは難しいのです。そのような意味で、協賛を募るのに苦労をしていると思います。
そういった営業的な外の仕事の他に、事務局として中の仕事も同時に私一人で行っているので、時間的なやりくりも苦労になるのかもしれません。それに運営をしていくのにも採算上の問題が出てくるので、そういった部分は工夫を加えていかなければいけないところですね。
良かったことと言えば、協賛いただいたお客様にはこちらからお礼を言わなければいけないのに、反対に「ありがとう!」と感謝されてしまったり、そしてそこからずっと継続をして下さったりとか・・・。
それに私達の志を理解して下さった方々から、「このような活動はこれからもどんどん続けていくべきだし、絶対になくしてはいけないものだから・・・。」という力強いお言葉をいただいた時に、とても元気が出てきます。
それに、ベロタクシーを始めて最初の忘れられない出来事は、介護のお仕事をされているあるお方が、その仕事を通して知り合ったお友達(介護の元お客様)と一緒に、ベロタクシーをご予約いただきました。そのお友達は目の不自由な方ですが、その方の誕生日プレゼントとしてぜひベロタクシーに乗せてあげたい、ということでした。
乗車後、目の不自由なお客様に感想をお聞きしましたら、「普段、車に乗っていたら、街の『風』や『におい』や『音』などを感じることはできないけれど、それがベロタクシーだといっぱい体感できた。直接、肌で風を感じ、鼻でにおいを感じ、耳で音を感じ取れた。本当にありがとう!」。それを聞いた時には心の底から嬉しくなってしまって、この活動を始めて本当に良かったと思いました。
ベロタクシーのドライバーにしても、ご利用下さったお客様から「ありがとう!」「また、乗るね!」という言葉をかけて下さることが日々のモチベーションになっているのかなと思います。それは彼らが毎日提出する『日報』や、「今日は~なことがあったよ!」と笑顔で話してくれる様子から感じ取ることができます。そういったことの積み重ねも、私の背中を力強く押してくれているのだと思います。
▼好きな言葉を教えて下さい
ベロタクシーを始めてからは、『一期一会』が好きになりました。理由は、ベロタクシーをご利用下さるお客様とは、その時だけの出会いになることもあるわけです。もちろんリピーターの方も大勢いらっしゃいますので一度だけの出会いとは限りませんが。しかし、その出会ったほんのひと時の中で、お客様との会話を通して得られることや差し上げられるものが沢山あると思うのです。それがお互いにとってすばらしい経験として残り、良い勉強にもなります。
この5年間というのは、様々な方にお会いすることができ、その時々でいろいろな声を聞くことができました。でもそれで終わりというのではなく、私達にとってはむしろその時から「始まっているんだ!」という気持ちがあります。
私は東京出身ですが、こっちに来なかったら今のような経験や想いを持つことはなかったのではないでしょうか。
▼これからの抱負をお聞かせ下さい
ベロタクシーを始めたのは、皆さんに環境やその他の関連する問題について、体感していただくことでそれに気付いてもらい、お家に帰ってからもご自分で出来ることを実行していただけたら、という願いを込めています。
でもそれだけではなく現在、ベロタクシーの車内で飲み物をご購入いただくと、その売り上げの中から1本につき10円がヤンバルクイナの保護活動に充てられます。定価の中の10円を『NPO法人 どうぶつたちの病院(うるま市)』の『やんばるプロジュクト』へ寄付することで、ヤンバルクイナの飼育費や施設建設費を始め、やんばる(山原:沖縄本島北部の森林地帯)の生き物や自然を守る活動費となります。
そして今後はさらに、ベロタクシー自体でも何か出来ることはないかということで、企画を考えている最中です。例えば沖縄の美しい海を守るために、サンゴの植え付けに関する資金を集める活動の計画等・・・。
それと『ecomo.i』の志を広く皆様に知っていただくために、ベロタクシーの運行範囲を広げていきたいですね。
現在の国際通り周辺と小浜島だけでなく、その他の観光地や施設でも多数運行できれば、沖縄県内外の多くの方々の目に触れる機会が増えることになります。
そうなれば、環境問題等に関する認識や関心がいっそう高まっていくことになるでしょうから。
高江洲代表のインタビューの後、私達取材スタッフはベロタクシーに乗せていただくことが出来ました。
美しい女性ドライバーの笑顔に迎えられていざ乗り込んでみた私は、ここであることに気が付きました。
乗り物自体は前も横も素通しの状態なので、インタビューのコメントにもある通り、外の空気や雰囲気をそのまま感じ取ることが出来ます。しかし、車内に流れる時間は、外の世界よりゆっくりと流れているように感じられたのです。例えるなら、異次元の空間(ベロタクシー車内)から3次元の現世(国際通り)をのぞいているような・・・。不思議です、こんな気持ちになるのは・・・。ゆったりとして居心地がとても良い!
それに普段、車や徒歩で通る国際通りとは異なる目線で街を見物することが出来、とても新鮮な気分が味わえました。飛行機に乗ってはるばる沖縄へやって来た時の、あの頃の観光客気分が私の中に甦ってきました。
短い時間ではありましたが、とても充実したひと時を過ごすことが出来、高江洲代表とスタッフの方々に心から感謝を申し上げたいです。ありがとうございました!



NPO ecomo.i VELOTAXI(ベロタクシー)














