うどい(沖縄方言で『踊り』の意)の奥にある沖縄への想いとは。
▼仕事内容と特徴を教えて下さい
『琉球舞踊館うどい』は208席の小劇場です。
常時、琉球舞踊を公演する常設劇場のスタイルをとっています。
私共のように常設で日中に6回、踊りをお客様に鑑賞していただけるような所は、沖縄では唯一です。
出演者も師範教師を中心に技量の高い舞踊家です。客席数は208席、一番後ろの席で13列目になり、大劇場でいうと前列部分に相当します。
つまり、とても臨場感があり観やすいのです。せっかくの沖縄芸能を味わっていただくのですから、なるべく間近で観てほしいという願いを込めてコンパクトな劇場を造りました。
沖縄の音楽というのは、テンポがゆったりしているもの(心が和む音楽)とアップテンポのもの(元気の出る音楽)と両方があります。それぞれの音楽に合わせた踊りをお客様が観て、心が和みそして元気をもらっていただきたいと思います。
『うどい』の公演の特徴は、解説者が舞台に立って踊りの説明をしています。お客様に語りかけながら、解説者が皆さんを踊りの世界へと導いていきますので、視線(お客様の)をいつでも舞台に釘付けにしておくことができるのです。
このような形はよそでは見られないので、マスコミからも注目され、新聞数紙に採り上げられています。
演目は毎月替えています。なぜなら沖縄へ訪れる観光客のリピーター率は非常に高いし、沖縄在住のお客様の中には、何回も観に来ていただいている方もいらっしゃいますので、常に新しいものをご提供することで喜んでいただきたいと思っているからです。
しかしすべての演目を替えるわけではなく、人気の高いお馴染みの演目は入れ、それ以外の演目を入れ替えていろいろな琉球舞踊を観ていただく公演を行っています。
そして観ていただいたお客様から、「また、来ます」「来て良かった」とおっしゃってもらえるように心がけています。
▼『琉球舞踊館うどい』を設立しようと思ったきっかけを教えて下さい
自分は復帰前に東京へ行き、大学を卒業した後はそのままそこで高校教師の職に就きました。
元々文化には興味がありました。東京に住んでいる時は旅行で各地を巡り色々な文化にふれることができました。
そのことが沖縄と他の地域の文化を比較することができ、改めて生まれ故郷沖縄のすばらしさというものを再確認することができました。
13年前に沖縄に帰ってきて、土木建設会社に勤めました。沖縄の経済は公共事業の依存度が高く、この状況はいつまで続くものではないと思いました。
沖縄独自の産業は何かと考えるようになりました。それは観光でした。沖縄の青い海、青い空、冬は温暖な気候、独自の文化、それは県外の人には魅力的な観光地です。
その中で沖縄の文化を紹介する観光、『沖縄の持っているすばらしい文化を沖縄の人達でやっていく』ことが
『琉球舞踊館うどい』設立の根底にあります。
▼こちらの場所に建てられた理由を教えて下さい
琉球舞踊館を人々が沢山集まる那覇のような街中になぜ建てなかったのかというと、街の中では駐車場の確保が難しく気軽に来館というわけにはいきません。
また、「綺麗な格好をしていかないと・・・」とかまえてしまうきらいがあります。
しかしここなら、気軽に入れます。周辺で畑仕事をしていたおじーやおばーが、昼休みに長靴を履いたまま観に来ます。
そして県外から来た人達は地元の人達と気軽な気持ちで交流することができます。
また、この地は、玉城が文化発祥の地だからです。『うどい』から10分の所にヤハラヅカサがあります。ここは沖縄開闢の祖アマミキヨが上陸し沖縄の歴史が始まった場所です。
世界遺産の斎場御嶽(せーふぁーうたき)や城(ぐすく)も多くあり、踊りと組み合わせると歴史ロマンの旅を楽しむことができます。琉球舞踊は神々に感謝し祈願する踊りが起源です。
御嶽も多いこの地はまさに琉球舞踊館にふさわしい所です。また、『うどい』からは20分以内で行くことができる観光施設が多くあり南部観光を満喫できます。
▼この仕事をされていて、苦労されていることや良かったことを教えて下さい
設立当初から数えて現在12500回の公演を行いましたが、毎日が苦労の連続ですね。ご承知の通り、私共は入場料で運営しているわけです。ですからお客様が来なければ成り立ちません。
お客様の入りは、年間を通して非常に波がありますから大変です。しかし、公演の鑑賞を終えて出てきた時のお客様の笑顔を見ると励みになります。
『うどい』には来館者ノートがあります。多くのお客様が出演者の舞踊の確かさと懸命な姿を讃え、楽しい公演だったと来館した満足感をノートに書き残しています。
▼今後の抱負を教えてください
抱負はこれからも『琉球舞踊館うどい』を続けていくことですね。それから地域ネットワークを創り観光の連携を行っていきたい。
南部地域の中で観光に関するプログラムや商品は持っているけれど、それを観光客にどのように提供していったら良いのか分からないという方達は、どうぞ私に声をかけてください。
現在、『島尻体験ネットワーク』というネットワークを創っていて、私がその代表を務めています。
お互いの知識・経験・技術・仕事内容等を理解し尊重しながら良いネットワークを築いていけると、そこには良いビジネスが生まれてくると思います。
『観光施設を観る』→『食事をする』→『買い物をする』というような、観光客がとる一連の行動の流れを南部地域の観光施設全体で受け止めて、連携してお客様に情報を提供することで、地域全体が活性化し元気になっていければ良いなと思っています。
自分の所の施設だけですべての役割を担おうとするのではなく、それぞれの施設がそれぞれの専門分野(例:食事施設・見学施設・買い物施設等)に特化することで良いものを創っていく。
お客様は様々な施設の利用の組み合わせ方を考えオリジナルの観光コースでお楽しみできますし、何度も訪ねてくる。そのような形になっていくことが私の理想です。
▼最後に一言お願いします
沖縄の伝統文化の産業化を目指していきたい。
『灯々無尽(とうとうむじん)』、灯を絶やすことなく小さな火でも灯し続ければ、やがて大きな灯火となる。
沖縄にはすばらしい文化があります。この文化を守り継いでいかないと消えてしまいます。一度消えてしまうと復活するのは並大抵のものではありません。
一緒に沖縄の踊りを守っていきませんか。『琉球舞踊館うどい』へご来館下さいますようお願い申し上げます。
取材を終えて真っ先に頭の中に浮かんだ言葉は、平良信孝代表取締役は何て『熱い人』なのだろう、ということです。そしてそれだけではなく、『沖縄のすばらしい文化を、まずは沖縄の人達自身に再認識してもらうことから始め、さらに皆で協力し合って一緒に伸びていこう』というお考えを話されている時の瞳を見ていて、キラキラしているなあと感じました。
沖縄の人でありながら、内地のほうでも長く生活されていた経験がある方だということで、その『発想』と『行動力』には驚くべきものがあります。『琉球舞踊館うどい』を母体にしながら、沖縄をより良くしていきたいという思いには、拍手と同時に応援の気持ちを送りたいと思いました。



琉球舞踊館 うどい














