
『実行力』で創り上げてきた、卵作りと動物園への想いを話して下さいました。
▼お仕事の内容とそれにかける想いをお聞かせ下さい
養鶏場というものは、仕事内容で分けると大きく2種類(ブロイラーと採卵)あります。
そしてズケラン養鶏場では、採卵のほうを生業としています。
私達は卵の品質に『こだわり』を持って製造・販売を行っております。卵の品質は、その親である鶏が食べている飼料によって決まってきます。
例えば、栄養価・黄身のかたさ・白味の泡立ち加減・殻の強度など。さらに言えば、卵は『鮮度』が命です。
お客様には、いつも新鮮で美味しい卵を召し上がっていただくための努力と工夫を、絶えず行っております。
具体的には、一つ一つの卵について賞味期限を明確にしています。一般の家庭では、冷蔵庫に卵を入れる際にパックから出してしまうと、賞味期限が分からなくなってしまいます。
ですから、それを解消するために、一つ一つの卵の殻に植物性のインクを使って賞味期限を印字してしまおうと思いました。
卵の卸し先は、県内大手スーパーのサンエーさんです。サンエーさんにはご協力いただきまして、価格を動かさずにこだわりの卵を作っています。
本来、卵はその時の物価に大きく影響を受け、変動する商品なのです。しかしそれでは、生産者にとって常に不安な要素を抱えることになり、安心して卵作りに励むことができません。
それに価格を一定にすることで、消費者の皆様にも、常に安心してお買い物をしていただくことができるようになります。
また良質を保つために、飼料は常に一定のものが必要になります。いつも品質にこだわった卵を作り続け、
お客様にご満足をしていただくためには、サンエーさんと一緒にこれからも頑張っていくつもりです。
このように、『賞味期限の印字』や『一定の価格』といった私達の行っていることは、県内では初めてだったようです。
他には、こちらの養鶏場で卵の直接販売をしております。直接販売のメリットは、お客様の反応を肌で感じることができる点です。
そうすることで、スーパーへ卸す時も私達は自信を持って出せるのです。さらに、卵を使った加工食品(プリン・カステラ・シュークリーム・ロールケーキ・クッキー)も、こちらでは直接販売しています。
特に『プリン』は卵の黄身が命ですから、鮮度の良いものを使っています。素材を活かし、味は濃厚に仕上げております。
甘さ控えめで分量は多くもなく少なくもなく、そして値段的にも皆さんの負担にならないように低価格で設定させていただきました。県内では、ここでしか食べられませんよ!
それと、私達の養鶏場では『ミニミニ動物園』もオープンしていまして、サル・クジャク・カメ・ダチョウなどいろいろな動物に触れていただく機会をご提供しています。
動物園のほうは、維持していくことがとても大変なのですが、それだけにやりがいや喜びも大きいです。
卵を売るだけなら、いくらでも経費を節約することだけを考えれば良いのですが、逆に動物園の運営を頑張っていくことで、商品も売れていくんですね。
世間一般では、経費の削減ばかりに目が向いてしまって、お金をいかにかけないでやっていくかを考えている中で、私達は、自分達のやっている一つ一つの積み重ねが、モチベーションのアップと品質の向上、さらには地域の発展に繋がっていくものだと自信を持っております。
▼仕事をしていて苦労されたことを教えて下さい
思い返すと最初は大変でした。経験もなくお金もなく、あるのは体力だけでしたから。
この動物園は全てが私達の手作りで、床に石を敷き詰めるのも柱を建てるのも、埃まみれになりながら泥だらけになりながら、自分達だけでやりました。
プロに任せてしまえば立派なものはできるけど、やはり経費はかかってしまいますからね。それに自分達で造ったほうが思い通りにできますし。
手始めは、当然のことながら基礎工事からスタートしました。基礎工事というのは文字通り基礎の部分ですから、とても重要でありながら、人の目には直接見えない地味な部分なんです。
そういう部分に限ってものすごく大変な作業を必要とします。だから割に合わないと思いました。しかし、それも月日と共に基礎工事の上に建物ができ、動物園としての形になってきた頃から、お客さんには来てもらえるようになりました。
そうなって初めて、今までの苦労が報われたなと思えるようになりました。
最初の頃は雲をつかもうとしているような状態で、夢だけが大きくて…。そうなると反面、不安も大きくなる。
このまま続けていって果たして大丈夫なんだろうか…。そんなことばかり考えていました。
▼反対に、良かったことを教えて下さい
お年寄りや身体に障害を持っている方々も来園下さって、動物達と一緒にゆっくりした時間を過ごしていただいています。
特に、障害をもっている子供達の目には、ここにいる動物達がどんな風に映っているのだろうと思っていました。
ある時、自分の気持ちを言葉や表情に表すことができない子に、私が手を握って「嬉しかったら握り返してね!」と言うと、動物を観ながらギューッと握り返してくれました。
そして、その子の目の奥にある輝きを見て取ることができた時、今までにない感動が、すべての苦労を吹き飛ばしてくれました。
このような事は頻繁にあるものではないけれど、こういった事がモチベーションとなり、「今度は車椅子でも園内に入場しやすいように整備をしよう」とか、「トイレを広くしよう」という行動力が湧いてきます。
▼好きな言葉を教えて下さい
『有言実行』です。口に出すことで自分はそうなりたいという事をはっきりさせる。口に出すことで自分自身に言い聞かせる。思った事、言った事に対して、責任を持ちそれを実行。
そして成し遂げた時の喜び。言葉では言い表せません。良い意味で自分自身にプレッシャーをかけ、やらなければならない状況をつくる。それは自分を大きく成長させてくれます。
▼最後にメッセージをお願いします
テレビでも『動物』をテーマにした番組は沢山ありますが、そのテレビ番組で動物を感じようとすると、人間の五感のうち『視覚』と『聴覚』しか使えないんです。
それ以外に『臭覚』や『触覚』もあるのに、それはテレビでは無理な話です。
動物には、特に『におい』があるのは当然ですから、そういう事を実際に動物園に来て体験してもらうことは大切です。
私達の側からすれば、動物のこの『におい』というものを感じてほしいのです。さらには動物の息づかいや、あるいは手触りなども可能な限り感じてもらい、『生きているとはこういうことだ』というのを理解していただくことに、このミニミニ動物園の存在意義があります。
今申し上げた事を、一般のご家庭のお子さんやご両親にお伝えしたいですね。
取材に出かけたのは、ある晴れた土曜の午後。家族連れの来園者で駐車場はいっぱいです。私達が瑞慶覧代表の姿を見つけた時には、園内でスタッフの方々と汗だくになりながら工事をしている最中でした。その忙しい中、快くインタビューに応じて下さいました。
そのインタビュー中にいただいたプリンは、卵の風味を存分に活かした濃厚かつ素朴な味で、すっかり魅了されてしまいました。自宅へ帰ってからも、再び食べたくなることは必至だったので、帰りがけに思わず買ってしまったほどです。
それと、工場内も見学させていただきました。代表自らが、一つ一つの作業工程を熱くそして丁寧に説明して下さり、本当にありがたく思いました。卵においても加工食品においても、その作業の中にスタッフの方々の『愛』を感じます。
動物園では、取材だということをいつの間にか忘れて楽しんでいた自分達がいました。童心に戻ってさらに心も癒され、『充実した午後だったなぁ』という満足感でいっぱいになりました。



ズケラン養鶏場 ミニミニ動物園














