全てが手作の作業だからこそ味わえる、制作者の想いと何気ない暖かさをお届けします。
▼店舗概要をお聞かせ下さい
店舗自体は平成19年4月のオープンですが、紅型の工房は母の代から約40年になります。
工房では紅型のデザインから染めまでを行っています。さらにそこで仕上がった生地を使った雑貨と紅型材料の糊(のり)や顔料の販売を行っています。それと店舗に併設されたカフェがあります。
商品の種類は様々で大きな額に入ったタペストリーもあるのですが、今の時代に合った雑貨を紅型を使ってアレンジした商品を揃えています。
紅型の着物や帯などは手に取る機会はあまりないと思いますが、例えばバッグやテーブルセンター、Tシャツなど普段でも使用できる雑貨を中心に扱っています。
また、予約制になりますが体験教室も開いていて、内容は型おきした生地に染色するもので、好きな色に配色できます。
店舗では水・木・金曜日にそれぞれ午前10時から2時間ずつの教室になります。
その他に出張体験教室も開いており、こちらは2人の講師が付き、10人以上の予約から承っています。
現在は定期的にデイケアからの依頼でお年寄りの方を対象に教室を開いています。その他にも企業や児童館からの依頼もきていますね。
▼紅型制作についてお聞かせ下さい
京都の着物などは制作の作業工程を分業して行いますが、沖縄の紅型は全工程を自分自身で制作することが出来ます。
デザインから型彫りまでを自分の手で作り上げるということです。
デザインのイメージは子供の頃から周りに自然がたくさんあるので、そこで見た風景が基になっています。
染めに使用する生地の種類は色々ありますが、麻、綿、絹や麻と綿の混合で、化学繊維が入っていない自然の物を使った素材になります。
染色で使う材料は日本画に使用する物と同じで、朱、黄、黒、藍色などの顔料を基本に混ぜ合わせ、12~17色くらいを使っています。
色使いはそれぞれの工房さんによって変わってきますね
紅型は色彩豊かな物の他に、藍の濃淡で染めた「藍型(エーガタ)」と呼ばれる藍色を主にした染めもあり、それぞれ異なる魅力を持っています。
作品が完成するまで時間も随分とかかりますが、とても想いのこもった良い作品に仕上がります。
▼この仕事をしていて良かった事、大変だった事をお聞かせ下さい
着物などのご注文をいただいたお客様の想いをカタチにしていくことですね。
自分のイメージで作品を仕上げていくのとは違い、お客様からの要望をうまく取り入れていかなければならないのが大変ですね。
雑貨に関しても同じ事が言えると思います。でも出来るだけそういった要望には応えていきたいです。
そうすることで、いろんなアイディアをお客様から頂くことができるのはすごく有難いです。
買っていただいた作品を持って来店される方や、 体験教室で染めた作品の仕上がりを見せに来てくれるお客様がいますので、この仕事をやっていて楽しいし、嬉しく思いますね。
▼今後の目標・抱負をお聞かせ下さい
まずは頭の中にあるイメージを作品にしていくことです。やっぱり思い立ったらすぐにカタチに出来るようになりたいとはいつも思います。
やりたい事はどんどん湧いて出てきているので、それを一つずつこなし、カタチにしていくことですね。当店にて2月2日に開催される紅型を使ったオリジナルの「ウェディング展示会」もその中の一つです。
多くの関係者の協力を得ながら、ピアノ音楽とのコラボレーションも予定しています。こちらも、もちろん全て手作りでの展示会になります。
このような事も行うことで紅型というものを知ってもらいたいし、この伝統をこれからも守り続けていきたいという強い想いがあります。
▼いつも心がけていることはありますか
いつも「感謝」の気持ちを忘れないことですね。やはり皆さんに支えられて成り立っているので。
それから手懸ける作品には、常に想いを込めて制作にあたってます。
紅型のマース袋(塩が入ったお守り)を制作するときは「カエル」や「サクラ」のデザインを用いて、それぞれ「無事帰る」、「サクラ咲く」などの想いがこもった作品にしています。
そのせいでしょうか、商品が売れると少し寂しくなったりすることもありますが、「いってらっしゃい」という気持ちで送り出しています。
▼最後に一言メッセージをお願いします
紅型は奥の深い物なので制作の工程なども知ってもらうと、きっと紅型の良さをより一層解ってもらえると思います。
それから意外と安価なコピー商品も出ていて、一見すると本物と見分けが付かないほど精巧な物まであります。
若手の良い作家の方も出てきていますので、将来を考えるとどうなってしまうのだろう、と考えさせられてしまいす。伝統工芸を継承していく意味でも、是非本物の紅型に触れてみて下さい。
心地よく暖かい作品作りに取り組んでいるということもあり、穏やかな印象のお二人でした。
落ち着いた雰囲気の店内と色鮮やかな作品に触れると、日々の忙しさから解放される気分になります。紅型という世界の中に、生活雑貨という新しい風を吹き込んだ魅力ある作品に一度触れてみて下さい。
「長山びんがた TIDAMOON」は今回インタビューを受けていただいたお二人の姉妹と国の伝統工芸士でもあり、母でもある長山幸子さんとの家族で営まれています。
母の代から受け継いだ沖縄の伝統文化である紅型を、これからも絶やすことなく継承していただきたいです。



長山びんがた TIDAMOON(ティダムーン)














