忠孝酒造 株式会社 多くの皆様に「琉球泡盛」の文化をお届けしたい

今回は忠孝酒造 株式会社の大城勤 代表取締役社長にお話を伺いました。
忠孝酒造の泡盛に対するこだわりや造り手の思いを語っていただきました。
業務概要をお聞かせ下さい
我社は昭和24年創業で、主に泡盛、もろみ酢の製造を行っております。
また、自社に陶器工場を設け、古酒貯蔵に最適とされる南蛮荒焼甕の製造も行っております。
甕の製造までを手掛けているのは当社だけではないでしょうか。
甕を造り始めたのは平成元年で、当時の社長(現会長)が岐阜に出向いたときに、陶芸教室に参加したのがきっかけです。
500年の歴史がある泡盛文化の中でも、泡盛と甕は切り離すことができません。
しかし、これまで酒の研究はされておりますが、甕の研究はまったくされていませんでした。
忠孝酒造として泡盛文化の一端を担うということで陶器づくりを始めました。
忠孝酒造の泡盛への想いをお聞かせ下さい
泡盛というのは私達の祖先が育ててきた文化で、祝い事など行事のさいには欠かすことのできないものです。
最近では、子供の誕生などにあわせて泡盛の甕を購入し、
「その子供が成人や結婚など人生の節目を迎えるときに封を切り、 皆に振舞ったり、息子さん、あるいは娘さんと酒を酌み交わしたい」といって購入される方が増えています。
子供の成長とおなじ時間のなかで熟成された泡盛を、成人の日に息子、または娘と思い出を語り合いながら飲む。
そういったシチュエーションが根付けば、それが泡盛の1番の文化だと思います。

そういった点で、泡盛と甕には非常に夢があり、我々とお客様やそのご家族との大切な接点だと考えます。
各家庭で育てる酒、「忠孝」の泡盛・甕ではなく、個々の家庭の思い出、歴史がつまった泡盛「家酒家宝」となっていけばという想いがありますね。
会社の魅力・特徴をお聞かせ下さい
自社で陶芸部門と研究部門を持っているのは大きな魅力の一つですね。
最近の取組みでは、かつての泡盛製法である「シー汁浸漬法」を用いた商品「昔醸翠古」の製造などがあり、今後も差別化ができるような取組みを行っていこうと考えています。
泡盛文化の継承と創造に関してはやはり、様々なことを考え実行することが我々の武器であり、そういったことを通して常に未来に向かって挑戦していけるということです。
現在、泡盛は沖縄県内での消費が大半を占めていますが、ゆくゆくは本土、世界市場などでより多くの方に飲まれ、それが沖縄の産業の一角を担う可能性があると信じています。
その可能性に向かって我々は研究を通して商品開発を進めていきたいと考えております。
日本醸造協会技術賞受賞についてお聞かせください
この賞は日本を代表する大手企業や研究機関などの受賞が多く、弊社のような沖縄の小さなメーカーが受賞できたことは、すごく名誉なことです。
また、沖縄県内初ということもあり、すごく価値ある受賞となりました。
約8年前になりますが、40年ほど前に途絶えた「シー汁浸漬法」という製法の復活をテーマに、泡盛業界及び忠孝酒造から「博士号」を輩出しようということで、東京農大と泡盛の共同研究を始めました。
そして、平成18年2月に、弊社研究開発課の熱田和史が東京農業大学より醸造学の「博士号」を授与されました。
こういった、「博士号」取得といった人材育成での「人づくり」、過去に途絶えた伝統製法「シー汁浸漬法」の研究という「文化の掘り起こし」、その研究のもと商品化になった「昔醸翠古」という「ものづくり」、これら全ての取組みが認められ今回の「日本醸造協会技術賞」の受賞に結びついたと感じていますね。
それでも、まだまだ研究されていない部分はたくさんありますので、我々がその一端を担っていくことで、泡盛業界の底上げができればと思います。
この仕事をしていて良かったことをお聞かせ下さい
やはり、自分のアイデンティティのポジションが明確にできたことですね。
我々は泡盛を世に広げるという仕事をしている訳ですから、その中で、沖縄の文化がどういうものかということを認識できるようになったことです。
私自身この仕事をすることで、「うちなーんちゅ」としての血を認識できたのだと思いますね。
好きな言葉をお聞かせ下さい
「温故知新」は「古きをたずねて、新しきを知る」ということでありますが、
私が考えているのは逆の「知新温故」でして、
「新しきを知ることで昔を尋ねたくなる」ということです。
新しいことをやればやるほど、古い文化をたずねたくなる。
それは陶芸の甕づくりであったり、昔の製法を再現してみようということなんですね。
古きを尋ねた時にヒントを得るということが多くあります。
今後の決意、抱負をお聞かせください
我々は泡盛を造っているわけですから、それを将来へ引き継いでいく使命があり、泡盛の文化を積み上げ、創造していく役割があります。
泡盛が世界の名酒になるように、もっともっと品質のランクを上げていき、研究をしながら可能性を引き出していくことでしょうね。
最後に一言おねがいします
泡盛はこれからもっと美味しくなります。泡盛はもっと可能性があります。
泡盛には「夢」があります。それをぜひ楽しみにしていて下さい。
我社は泡盛文化の継承と創造をもって地域社会に貢献していきます。

[[ 取材後記 ]]
今回の取材の際に甕をつくる工房や貯蔵庫を見学させていただきました。
驚いたことに、貯蔵庫は首里城を除く県内最大の木造建築物であるということでした。
甕は一つずつ職人の手で作られており、泡盛造り、古酒造りに対するこだわりをとても強く感じることができました。
泡盛文化の継承と創造の担い手として今後も社会貢献を果たしていくことを期待します。
